コロナ後の音楽体験はどう変わっていく?【7つの統計情報をまとめました】
激動の2020年を経験し、これからの音楽活動のあり方を見直すことになりました。
今回は音楽業界に関する統計データから、今後の音楽活動を考える参考になるかもしれないので、書いています。
統計から未来を読むことはできませんが、誰も正解を知らない現状で少しでも役に立てばと思います。
まず過去10年間の統計データを以下の順でみていきます。
- ライブ市場規模の推移
- フィジカル音源生産実績の推移
- デジタル音源売上実績の推移
各項目でデータ内容の解説、客観的まとめをします。今回はデータの紹介だけにして、今後別記事で各項目の考察をしていきます。
ライブ市場規模の推移

ぴあ総研(PIA Research Institute)2019年のライブ・エンタメ市場が6,000億円を突破し過去最高となる速報値を公表。2020年のコロナ禍の影響を試算
データの説明
ぴあ総研が公開しているデータで、過去10年間の統計に加えて2020年の試算値を発表したものです。
大衆・クラシック・ジャズなど音楽ライブ全般を指す「音楽」と、ミュージカル・演劇・ダンスなどパフォーマンスステージを指す「ステージ」の2つに色分けされ、市場規模金額を表しています。算出方法は以下です。
市場規模=チケット販売実績額+(その他設販売数*単価推計額)
ちなみに「音楽」区分内のジャンル別市場規模構成比は以下です。

また、デジタルライブの市場規模予測値も算出されています。

ここでは音楽ライブや演劇など、主にステージ上で演じてライブ配信されるものをまとめて「デジタルライブエンターテインメント」と定義しています。詳しくはこちらへ。
データからわかること
2019年は台風でフェスが軒並み中止になったりしましたが、それを物ともせずプラス成長を維持しています。
当然ですがコロナウイルスの影響で前年比30%以下の予測になっています。
今後リアルでのライブが再開されたあとも、デジタルの強みを併せて活用するモデルが一般化して、止まることはないとのこと。
フィジカル音源生産実績の推移

データの説明
日本レコード協会が公開している2019年までの生産実績データです。
「オーディオレコード 全体」というのは、CDアルバム・シングル・アナログディスク・カセットテープ・音楽ビデオが総計されたもので、生産枚数の棒グラフと、金額の折れ線グラフを同軸に配置しています。
ここからCDのみを抜き出したグラフは以下です。

次にアナログのみのグラフは以下です。

データからわかること
フィジカル音源が全体的に大きく衰退しています。
「オーディオレコード 全体」のうちほとんどはCDなので、フィジカル音源の衰退要因のほとんどは「CD音源の衰退」であると言えます。
アナログディスク(レコード)の生産が大きく伸びています。
デジタル音源売上実績の推移

出典:一般社団法人日本レコード協会 音楽配信売上実績 過去10年間 全体
データの説明
同じく日本レコード協会の2019年までの音楽配信の売上実績データです。
“Master ringtones” “Ringback tones”は、いわゆる「着うた」の部類です。「ダウンロード」はiTunesなどの買い切りのデジタル音源で「ストリーミング」はApple MusicやSpotifyなどの定額課金サービスです。
2017年からは「ストリーミング」に広告収入も加えられ、YouTube等も含まれています。それら各色で売上実績金額を表しています。
データからわかること
ストリーミングが爆増している以外は、縮小傾向にあります。
デジタル配信の成長要因は、ストリーミングの伸びが全てであると言えます。
今回は以上です
あなたはこのデータをどうみますか?
今後を予測する上では、他にも考慮すべきことがたくさんあります。例えば、2019年の音楽の視聴方法は「youtubeで聴く」が最も多いという調査結果が出ています。
この辺りのデータはこの記事でまとめています。
これだけ小難しいグラフを提示しておきながらですが、あまり難しく考えても良くないなと思っています。だって、前例がない問題ですもんね。
自分にはどうにもできないことは諦めて、自分ができる範囲のことだけに注目して考えるように心がけています。
外出は減っても、音楽を愛する人は減っていません。いつか来る最高の日のために、今は元気で過ごすことを一番にしましょう。